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June, 2013
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Jun 22, 2013
対決と妄想
麗奈が事故にあったと聞いて俺は春雛と別れ、病院へとバイクを急いで走らせる。
 
もしも、なんて事になったら俺はどうすればいい?
 
麗奈は俺の生きがいそのもの、愛する妹を失うなんてそんなバカな事があってたまるか。金鰐魚
 
『妹ですから、私は』
 
せっかく恋心を封じこめ、兄妹になろうとしたんだ。
 
『お兄ちゃんと出会えたことは運命だと思っています』
 
互いに辛い事も乗り越えてきた、俺達は幸せをつかもうとしていた。
 
それなのに……こんな所で突然、その幸せが終わる?
 
そんなの嫌だ、そんな事だけは……。
 
嫌な事しか思い浮かばない自分に苛立ちながら、病院に到着した。
 
俺は焦る気持ちを抱き、急いで病室に向かう。
 
廊下を走りながら病室前にたどり着くと、勢いよく扉を開けて、俺は叫ぶ。
 
「麗奈、無事かッ!?」
 
妹の安否、俺はそれだけが心配でしょうがない。
 
……麗奈、俺の妹は無事なのか!?
 
「……は?」
 
そこにいたのは上着を脱ごうとしていた妹の姿。
 
「……な、何なの!?」
 
呆然とする俺と半裸の妹、彼女の親友、ナナが苦笑いしながら俺を見ている。
 
綺麗な白い肌、脱ぎかけの服に見え隠れしている危険な魅惑の果実。
 
おおっ、たわわに実りかけの果実……って今はそういう状況じゃない。
 
「れ、麗奈……事故にあったんじゃないのか?」
 
ベッドに座り込んでいた半裸の彼女に俺は尋ねる。
 
「え、あ、はい。そうです。車にひかれちゃいました」
 
「そうだよな。け、怪我とかしてない?大丈夫なのか?」
 
俺と麗奈、ふたりの視線が交差して……微妙な心境で見つめあう状況。
 
「……その前に何か言う事があるでしょう、お兄ちゃん」
 
妹の静かな怒りの声、やばい、この状況は非常にマズイ。
 
「着替え中なんだから……さっさと出て行ってください!」
 
麗奈の黄色い叫び声に俺は「すみません」と病室から飛び出した。
 
後頭部に枕を投げられて直撃する微妙な痛さに耐えつつ、俺は急いで病室の外に出た。
 
「……どういうことなんだ?」
 
俺は意味の分からない事に動揺しながらも、麗奈が無事だった事に安堵のため息をつく。
 
よかった、本当に無事でよかった……。
 
事故にあったと聞かされていた時から張り詰めていた緊張の糸が解ける。
 
……俺はもう誰も家族を亡くしたくはないんだ。
 
数分後、俺は妹の着替えが終わった事によりようやく中に入る。
 
妹は頭に包帯を巻いている痛々しい姿だった。
 
頭の怪我はそうたいしたものではないけれど、強く打ったために検査のための数日間の入院が必要なだけ、と麗奈は俺に説明した。
 
「そうか。本当によかったな」
 
車との接触事故にも関わらず他に外傷もないのは奇跡だ、俺がそう告げると、
 
「……私は助かっただけです。私を命がけで守ってくれた人がいたから」帝王家宝
 
「……え?」
 
「私を守ってくれた彼は……彼は……」
 
沈みきった表情で瞳に涙を溜め込む妹。
 
そんな……まさか、その人は……麗奈の代わりに?
 
何も言えなくなった麗奈の代わりにナナが答えてくれる。
 
「麗奈ちゃんを守った男の子って桐生君っていうの。恭平さんも何度か見かけてない?麗奈ちゃんと同じピアノ教室に通ってる男の子」
 
「あ、ああ。そう言われれば見た事があるよ。あの線の細い男の子だよな?」
 
何度かピアノコンクールで見た事はある。
 
男の子なのにピアノをよく頑張ってるな、程度に覚えてはいた。
 
「うん……。彼、私たちと一緒にいたんだけど……事故で……」
 
「事故で?まさか亡くなったのか……」
 
「……ううん、生きてるよ。怪我はひどいけど、無事だった」
 
麗奈を守ってくれた男の子、桐生君だっけ……。
 
その子がいなければ麗奈は無事ではすまなかったかもしれない。
 
彼には本当に感謝しないといけないよな。
 
「桐生君は今、どうしてるんだ?」
 
「もうすぐ、来ると思う。さっきまでここにいたし。今は親に連絡しにいっただけ。怪我はひどかったけど入院するほどじゃなかったから」
 
ナナは事故に巻き込まれなかったらしく、俺にいろいろと説明してくれる。
 
麗奈は無事ではあったけれど、心にはそれなりの傷もあるだろう。
 
ここはちゃんと桐生君にはお礼を言っておくべきだろうな。
 
しばらくするとノックが聞こえて、俺は扉を開ける。
 
現れた彼は左腕に包帯を巻き、あちらこちらに傷痕が見えた。
 
「あ、すみません……あれ?」
 
「キミが桐生君か?」
 
「そうですけど……もしかして、西園寺のお兄さんですか?」
 
「ああ。はじめまして、俺は西園寺恭平っていうんだ」
 
俺の言葉に彼は頭を下げて「桐生雅貴です」と言った。
 
第一印象としては礼儀正しい男の子、しかも、クールな印象がカッコいい。
 
うむ、最近の子供にしてはよくできてるではないか。
 
「今回は麗奈を助けてくれたそうで、ありがとう……」
 
「いえ。俺は別に……」
 
桐生君は麗奈に近づくと、彼女は小さな声で、
 
「……本当にありがとう、桐生君」
 
「でも、俺は西園寺を守りきれなかったし。実際、俺はこの怪我で入院するわけじゃないのに、西園寺は入院しなくちゃいけないだろ」
 
「そんな事ないよ。入院って言っても検査するだけ。私、ほとんど無傷だから。それって、全部、桐生君のおかげだよ。ありがとう」
 
にっこりと彼に微笑む麗奈は可愛く、ドキッとする。
 
……別に俺に向けられた笑顔じゃないけどさ。
 
「桐生君は私の命の恩人なんだから」
 
何だろう、妹の目がなんだかキラキラしてるように思えてしょうがないのだが。
 
俺の気のせいかな……お兄ちゃん、別の意味で不安になってきたぞ。
 
「七海、私、ふたりっきりで話がしたいんだけどいいかな?」
 
「あ、うん。わかった。ねぇ、恭平さん。私と一緒にジュース買いに行こう?」
 
「……え、でも、俺は麗奈と話が……」
 
「いいから。私と外に出よう、ほら……」
 
こ、この状況をふたりにしちゃうといけない、俺の第6感がそう告げている。
 
そう、今の妹の瞳は何だか危険な感じ……まるで恋する乙女みたいな。
 
「……お兄ちゃん。ジュースを買ってきてくれませんか?」1粒神
 
「はい……」
 
妹にそう言われたら行くしかないけど、でも、絶対にマズイって。
 
俺はナナに手を引かれて病室から追い出されるように外に出た。
 
静かに病室の扉が無常にも閉まっていく。
 
「……ジュース、買いに行こう。全力で走りながらいけばすぐだ」
 
「ダメ。廊下は走らず、ゆっくりと歩きましょう」
 
俺は廊下をゆっくりとナナと歩きながらたずねた。
 
「もしかして、今の状況まずくないか?」
 
「桐生君とふたりっきりの事?」
 
「そうだ。麗奈があんな風に男と接してるのは俺以外にはじめて見るぞ」
 
「……まぁ、そうかもね。私も……恭平さんに憧れてた昔の麗奈ちゃんみたいだなって思ってた。あれは桐生君に惹かれてるかもね……」
 
なんという事でしょう。
 
……俺は大ショックに廊下の壁に頭をぶつける。
 
マジか、マジなのかよ、麗奈が他の男の子になびくだと?
 
そ、そんな事があっていいのか、否、あってはいけない。
 
ここでそんなフラグを立ててしまってはいけません!
 
お、お兄ちゃんとして、そんな事は許すわけにはいかない、絶対に!
 
意外と冷静なナナは俺に逆に問いかけてくる。
 
「麗奈ちゃん、前に桐生君に告白されてるんだよね」
 
「嘘……アイツ、桐生は最初から麗奈狙いなのか!?」
 
「そういう言い方は好きじゃないな。私も彼の事、そんなに好きじゃないけど、いい人ではあるよ。外見もいいし、結構優しいから。麗奈ちゃんとも付き合い長いし」
 
……どうしよう、お兄ちゃん、めっちゃ不安になってきた。
 
他の男に恋する妹なんて見たくないっ。
 
緊急事態発生、パニックに陥る俺は思わず廊下を転げまわりたい衝動に駆られる。
 
『ごめんね、お兄ちゃん。私、他に好きな人が出来たの』
 
俺の脳内妄想ですら……嫌な妄想すらしてしまうではないか。
 
『お兄ちゃん、バイバイ』
 
うぉおお、ダメだ、ダメージが大きすぎて俺はもうこのまま倒れこみそうだ。
 
「……見守るのもひとつの愛だって、私は思うけど」
 
「……とりあえず、病室に戻ったら桐生を倒す」
 
「結論、早ッ。でもそんな事したら一生、麗奈ちゃんと口聞いてもらえなくなるよ。だって、麗奈ちゃんにとっては命の恩人だもん」
 
わかってるさ、それくらい。
 
だから、俺はここまで悩みに悩んでいるのではないか。
 
麗奈に好きな相手がいつかできるかもしれない、そう考えていた事はあった。
 
俺にだって、春雛という恋人がいるんだ。
 
猛反対しまくるワケにもいかない、それも分かってる。
 
自販機を発見した俺とナナは目的のジュースを購入した。
 
「麗奈ちゃんはオレンジジュース。私は炭酸……あ、ソーダでいいよ。桐生君は……コーヒーとか飲むかな。恭平さんは何飲む?お金出すのは恭平さんだけど」
 
「……俺は……何もいらないや」
 
精神的ダメージがきつくて、飲み物すら飲めやしない。
 
「麗奈ちゃんに彼氏が出来るのそんなに嫌?私たちは年頃だからそういうのに普通に憧れたりしてるのに」
 
「……ふっ、若さはバカさっていうくらいだからな。青春なんて嫌いだ」
 
頭で分かっていても、理解したくない事は現実世界にいくらでもある。
 
……そうだ、ついにこの時が来ただけだ。
 
宿命の対決だ、妹のために俺は修羅になるべきだ。極品狼一号
 
俺に認めさせてみろ、桐生雅貴、お前は俺の敵だッ!
 
俺は強い決意を秘めて、病室へと戻ってみると、そこには既に桐生はいなかった。
 
「彼はどうしたんだ?」
 
「親が迎えにきたから帰りましたよ。お兄ちゃん、ジュースありがとうございます」
 
「あ、ああ。そうか。帰ったのか……惜しい」
 
戦意をそがれた俺は仕方なく諦めて、椅子に座る。
 
今度会った時、そこは戦場になるな。
 
……と、妹の前では決して口に出来ない言葉を心の中で囁く。
 
俺の可愛い妹に触れるなど断じて許すものか。
 
「身体は大丈夫か?痛いところはないのか?」
 
「心配しすぎですよ、お兄ちゃん。私は大丈夫です」
 
麗奈よ、身体には問題なくても、心に異常事態が発生してませんか?
 
俺はある程度の覚悟を踏まえてその質問を彼女にしてみる。
 
「あのさ……桐生って麗奈にとってどんな人なんだ?」
 
「カッコいいですよね。私、今まで彼の事、誤解してました。本当は優しさを秘めてるんだって知らなかったから……。前までは嫌な人だったんですけどね。きっかけひとつで人の印象ってずいぶん変わります。それを改めて感じてます」
 
静かに瞳を瞑りながら彼の事を思う妹。
 
人の印象について、男は女に対して初めに抱いた印象を引きずる。
 
けれど、女は男に対して抱いた印象はどんどん上書きされていく。
 
それは恋と同じものだから。
 
男は経験した恋愛を全て保存しておくけれど、女はそれを全て上書きしていく。
 
……マジでへこむなぁ……ぐすん。
 
「……麗奈」
 
「はい、何ですか?」
 
「男は狼なんだからね、気をつけなきゃダメなんだからッ!」
 
俺の言葉に麗奈は非常に冷たい絶対零度の視線を向けながら、
 
「……何、ワケの分からない事を言ってるんですか?」
 
素で言われたよ、俺は泣いていいでしょうか。
 
まさか、自分が彼に惹かれているのに気づいてない、無自覚さん?
 
ナナに慰められながら俺は安心と不安、ふたつを同時に抱える事になる。
 
俺達“兄妹”の前に現れた大きな壁ともいえる今回の事態。
 
……どうなっちゃうんですか、俺達。
 
俺は果てしなく不安になりながら、大きくため息をはいた。新一粒神
Jun 16, 2013
メイド服と妄想
メイドとは何か?
 
そう問われれば、思い浮かぶのはフリルのついたメイド服を着た“少女”を連想するのが今の世間一般のイメージだ。
 
さて、昨今有名になったメイド喫茶のようにメイドとはメイド服を着た女の子、と捉えている人が多いが、それは本当のメイドとは少し違う。福潤宝
 
本来のメイドとは奉仕、家庭内労働を行う使用人を指す言葉である。
 
日本語では『家政婦』というなぜか“おばさん”をイメージさせる言葉なのだ。
 
ゆえに、メイド服を着ているただの女の子が本当のメイドではない。
 
今のメイドとは日本文化が作り出した別物である。
 
本質の一部を変化させた似て非なるもの。
 
それを『進化』と考えるか、『改悪』と考えるかは人それぞれだろう。
 
細かい話はさておき、メイドとは男の憧れだ。
 
『御主人様』というメイド独特のセリフと奉仕する美少女の姿。
 
せちがらい世の中で孤独に生きるものに、ひと時の安らぎを与えてくれる存在。
 
女の子にも『執事』という存在でなら理解してくれるだろう。
 
若い眼鏡をかけた色男が優しく身の回りの世話をして『お嬢様』と囁いてくれる。
 
憩いの時間、この世界には優しさが足りない。
 
だからこそ、人は優しさを求めて、日々新たな癒しの存在を生み出すのだ。
 
 
「……俺は夢を見ているのか」
 
学校から帰り、玄関を開けるとそこには……。
 
「え、あ?お兄さんっ!?」
 
メイドの姿をして、慌てて服を隠そうとする天使みたいな可愛い妹がいた。
 
白色のフリルがついたエプロンに、黒を基調としたドレス風のメイド服。
 
そう、それは夢にまで見た『メイド』であった。
 
今、俺は声を高らかにして叫びたい。
 
『メイド万歳!』
 
思わず右手親指をたてながら「グッジョブ!」と叫ぶ俺。
 
妹はため息をつくべきか、無視するべきかを迷いながら、
 
「とりあえず、言い訳させてくれますか?」
 
「言い訳もなにもついにこのお兄ちゃんに奉仕してくれる時が来たということだろう。さぁ、妹よ。あの名台詞を俺に言ってくれ」
 
「迷台詞ですか?」
 
「違う、迷ってないから。その服を着たら言うべき名台詞があるだろう。ほら、お兄ちゃんが学校から家に帰ってきました。なんて言いますか?」
 
妹は「うーん」と軽く腕を組んで本気の思案顔。
 
そして彼女は俺に言った。
 
「もう家に帰ってこないでください」
 
「拒絶ッ!?」
 
妹に「お帰りなさい」を通りこし、「出て行け」と言われた。
 
離婚しかけの熟年夫婦の会話です、それは。
 
ああ、世間の風はなんて冷たく厳しいのだ。
 
ちなみに妄想で補完するならこういう展開を望んでいました。挺三天
 
『お帰りなさいませ、御主人様』
 
そう言って俺に癒しを与えてくれる妹の姿。
 
『御主人様、私……貴方になら……(自主規制)』
 
いかん、これ以上は……遠い世界の住人になりそうだ。
 
妹の黒に煌く髪、蒼い瞳がメイド服と絶妙にマッチしている、洋風メイドを彷彿させながら和風メイドという新たな世界へと導いてくれそうだ。
 
「お兄さん、目が怖いです」
 
と、俺が新世界に旅立とうとしている姿に妹は嫌悪の眼差しをする。
 
「おっと、いけない。危うく別世界の住人になりそうだった。それはおいといて、その服はどうしたんだ?メイド服だろ、それ?」
 
俺の純粋な妹が自分からその手の道に入り込んだとは考えにくい。
 
誰から話を聞いたのか、それとも、俺のベッドの下に隠してある女の子には見せられない男の秘密を覗いてしまったか、なんらかの第三者的関与が疑われる。
 
「中学校の部活、私は帰宅部だったんですけど、誘われて料理部に入ることにしたんです。本格的な活動は4月に入って新学期からなんですが、顧問の先生が部活動用に考案しているコスチュームを着てくれないかって言われたんです。新学期までにコスチュームを完成させたいから、その試作品を着て欲しいって」
 
妹はメイド服を手で触りながら「変じゃないですか」と確認する。
 
先生、質問があります。
 
どこの学校に部活でメイド服を着せて活動させる先生がいますか。
 
俺はその先生に萌える、訂正、燃える俺の魂の全てを込めて言いたい。
 
「先生、グッジョブ!」
 
「……なんですか?そのグッジョブって?」
 
俺の意味不明な発言に突っ込む妹。
 
それはそれで何だか気まずいんですが。
 
「グッドジョブ。いい仕事をしている、という意味だ。先生は目の付け所が違うな。さすがは教師。いい先生だな。ちなみに料理部という事は女の先生だろ?学生時代にコスプレでもしていたのか?」
 
「いいえ。男の人です。担当は体育の先生ですよ。筋肉がたっぷりついた身体に厳つい顔がチャームポイントの権藤健次郎先生。趣味が裁縫と料理作りっていうギャップが何だか可愛いですよね」
 
「……それは微妙だ。先生と言うより、男としては尊敬できるけど」
 
権藤先生のことは記憶の彼方へ封印しておこう。
 
願わくば、俺の妹がこれ以上毒されませんように。
 
妹のメイド姿は本当に似合うなぁ。
 
くるりと回転させて、髪をふわっと浮き上がらせればもう完璧。
 
『御主人様、メイドの私に命令してください』
 
そう言いながら彼女は上目遣いで俺を見つめるのだった。
 
いい、その展開すごくいい!
 
さて、夢の実現といこうではないか、メイド愛好家の同志諸君。
 
「妹よ、その……俺に『御主人様』と言ってくれないか」JACK ED 情愛芳香劑 正品 RUSH
 
「真顔で何を気持ちの悪いこと、言ってるんですか」
 
「男には時としてプライドを捨てる事もあるんだ」
 
「元々、捨てる価値もないプライドでしょう?」
 
相変わらず遠慮容赦のない言葉ですね。
 
しかし、妹は「仕方がない人」と言いながらも俺に向き合う。
 
「ご主人様ぁ♪」
 
片目を閉じてウインクひとつ、愛らしいその唇から囁かれたその言葉。
 
御主人様、ご主人様、ごしゅじんさま……(エコー)。
 
「ぐぁガオgh好dhgで……!!」
 
解読不能な発言、俺の心に反響する妹の言葉が体験したことのない衝撃を与える。
 
俺は今までこんな衝撃を受けたことがあるか、否、ない。
 
こ、この俺が萌えている?
 
違う、俺は……俺は魂(ソウル)を揺さぶられているのかぁ!?
 
妹よ、お兄ちゃんはもう死んでも悔いはありません。
 
俺が萌え狂い死にしそうになっているのを傍目に妹はふとこう言った。
 
「やっぱり、言い慣れてない言い方はおかしいですね。“お兄さん”。その呼び名がしっくりとくる気がします。ホントは呼ぶのも嫌なのに……慣れって怖いですね」
 
……俺は一気に目が覚めて冷静に戻る。
 
お兄さん、そう俺達は兄妹……血の繋がりはなくても兄妹なのだ。
 
メイドとは本来、使用人を指す言葉。
 
それは“家族”ではなく“他人”を指す言葉ではないか。
 
俺は……俺は何をしているんだろうか。
 
大事な妹になんて事をさせていたんだ。
 
「お兄さん?どうかしたんですか」
 
「別になんでもないさ。……なぁ、お腹すいてないか。夕食前のおやつタイムとしよう」
 
「はい、そうですね。もうこれはいいですか?」
 
妹はメイド服を指で示す。
 
俺は首を縦に振ると彼女は「意外」と不思議な顔をする。
 
メイド、それは……俺にとっては相対することのできないもの。
 
俺はそのままキッチンに入り、ケーキセットの準備をはじめる。
 
「……ふふっ、お兄さんの方がメイドらしいですね」
 
いつも妹にしているせいか、用意するのも手馴れている。
 
それはそれで幸せな時間だ。
 
俺はティーカップの準備をしながら、執事のように頭を下げて、
 
「少々お待ちくださいませ、お嬢様」
 
「はい、待ってます」
 
メイド服がドレスを着たお嬢様のように見える。
 
妹の可愛らしい顔がほころぶ姿に俺は癒されていた。
  
たまには……こういうのもいいな。MaxMan
  
俺達は午後のティータイムを楽しんだのだった。
Jun 09, 2013
私の大切な宝物
自分にとっての宝物。
 
子供の頃、大事にしていたものをひとつの箱に詰め込んでいた。
 
ほんとに些細なものでさえ、私にとっての宝物。巨根
 
幼馴染の女の子が誕生日にくれたティースプーン。
 
私とママが一緒に作ったビーズアクセサリー。
 
他人にしてみればなんでもないもの。
 
それでも……私の大切な宝物。
 
宝物ってそういうもの。
 
人によっては宝石だったり、アクセサリーだったり、いろんなモノがある。
 
けれど、共通しているのは宝物は思い出の形。
 
これを見るたびにその時の事を思い出せる。
 
……そして、私の手の中にあるこの一枚の写真も宝物。
 
誰にも見せられない、私だけの……思い出。
 
 
 
5月の大型連休、GWを終えた翌週の学校。
 
未だに休み気分が抜けない私は席替えで偶然にも隣の席に素直さんが座る事になった。
 
「お隣になったんですね、よろしくお願いします」
 
「……よろしくするつもりはないけど?」
 
挑発的な発言、相変わらず私に対しては冷たい子だ。
 
GW中もお兄さんの所に遊びに来ていたし、ホントに懐いているんだと思う。
 
私はなぜか彼女から敵意を持たれている。
 
こちらとしては家も近いんだから仲良くしたいのにうまくいかない。
 
「でも、お兄ちゃんが仲良くしろっていうから、少しぐらい話してあげてもいい」
 
「彼の事をずいぶんと信頼しているんですね?」
 
「当たり前じゃない。麗奈さんと違って私は生まれた時からずっと彼が私のお兄ちゃんのような存在だったんだから」
 
あのおバカな人のどこに彼女を惹き付ける魅力があるのか問いたい。
 
けれど、もうひとつ別のことも気にかかる。
 
「素直さんにはお姉さんがいるじゃないですか。別に兄にこだわる必要は……」
 
「私は実姉と仲が悪いのよ。だから余計にお兄ちゃんが好きなの」
 
彼女の姉はお兄さんの幼馴染で何度か家に来た事があり親しくしているけど、特別に嫌な感じもないい人だ。
 
「あーっ、もうっ。姉の事は聞かないで。あの人の事は言いたくないの」
 
「そこまで嫌うほど?」
 
「人間として悪くなくても、趣味が悪いから。貴方も気をつけた方が良いわ。あれは悪魔だから」
 
まるでうちと同じだ、私が恭平お兄さんを拒絶するように彼女は実姉を拒絶する。
 
憎むと言っても本気で嫌悪をしているわけじゃないようだ。
 
何だか妙なところで親近感がわいてくる。
 
「……はいはい、ここまで。あまり私に馴れなれしくしないで」
 
「私は出来れば素直さんと仲良くしたいんです」
 
「何で?別に家がお隣さんだからって仲良くする必要はないでしょ」
 
「お友達になれたらきっと素敵だと思いますから。前向きに考えてくださいね?」
 
私の言葉に素直さんは特に否定もせず、思案顔で頷く。
 
「まぁ、それはこれからの展開次第かな」
 
「良い展開になる事を望みます。あっ、次の授業が始まりますよ」
 
彼女も根が悪い子ではないと思うので、その辺のわだかまりを解いていきたい。
 
私が嫌われている1番の理由がお兄さんの義妹だというのはどうしようもない。
 
ホントに兄妹になったことで私にひとつくらいメリットを与えてください、お兄さん。巨人倍増枸杞カプセル
 
 
 
「――お兄さん、ちょっといいですか?」
 
夜の7時過ぎ、私はある覚悟を決めてその扉をノックした。
 
お兄さんの部屋の前に立つと、すぐに彼が部屋から出てくる。
 
「どうした、麗奈?何かあったのか?」
 
お風呂に入りたてなのか、まだ彼の髪が濡れている。
 
男の子ってそういうの気にしないのかな。
 
男らしいというより、ガサツなだけかもしれないけど。
 
「あの、お兄さんに折り入って話があるんです」
 
「何?何でも言ってくれ、お兄ちゃんにできる事なら何でもするから!」
 
息荒くお兄さんが私の手をとろうとしたので、その手を乱暴に払う。
 
油断も隙もない、だから、この部屋に来るのだけは嫌だったのに。
 
「私に触らないでください。出来るなら息を止めて欲しいくらいです」
 
「せめて半径30センチとかにして。それじゃお喋りもできない」
 
苦笑する彼がムカつくが、今、私の抱えてる問題は彼にしか解決策がない。
 
私は深呼吸ひとつしてから、その悩みを彼に伝えた。
 
「……明日、数学のテストがあるんです。教えてくれませんか?」
 
それ以上は恥ずかしさで沈黙。
 
私は数学が大がつくほど苦手で、毎回苦労させられている。
 
他の教科は何も問題ないのに、あれだけは本当にできない。
 
「数学?任せてくれ、お兄ちゃんは理系の人間だ。どこでする?」
 
「部屋は危ない意味で嫌なので、リビングでお願いします」
 
「うぐっ、わかった。それじゃ、俺も準備するから後でリビングに集合な」
 
私の突然のお願いにも、お兄さんは優しく受け入れてくれた。
 
……とりあえずはこれで安心かも。
 
そして、リビングで行われた勉強会。
 
シャーペンで文字をノートに書く音が部屋に響く。
 
お兄さんは私の横で問題集と教科書を照らし合わせながら、
 
「ここはXを代入してやればいいんだ」
 
「代入……あ、わかりました。これですね?」
 
「そう、麗奈は飲み込みが早いな。あとはここの問題どおりにすればできるから」
 
お兄さんは全く理解していない私に一つ一つ丁寧に問題を教えてくれる。
 
数学の授業はまじめに受けているのにできない。
 
先生に当てられる時は隣の子にこっそりと教えてもらうほど。
 
中学に入ってから算数から数学に変わり、余計に分からなくなって今に至る。
 
「……基礎ができれば数学も簡単だろ?」
 
「微妙です……。今は何とかできましたけど、すぐに自分の中に吸収できたかと言うと、そうでもないので。お兄さんってすごいですね。私には無理ですよ。相性が悪すぎます」
 
数学が簡単なんていう人はできているから言えるのだ。
 
分からない人は本当に分からない。
 
私はノートとにらめっこしているとお兄さんが私に尋ねてくる。
 
「それにしても珍しいよな。俺に勉強を教えて、なんて。今回のテストはそんなに大事な試験なのか?これからの成績に響くとか?学校は大変なのか?」
 
「普通の中学生も2年になれば成績を気にしだす時期なんですよ」
 
高校進学を考えればここで成績を悪いまま放置するのは嫌だ。
 
1時間ほど経ってから、休憩をするために私はテレビをつけた。
 
隣でコーヒーを飲んでいたお兄さんがチャンネルを変えると、テレビは動物の番組で可愛い小動物が映し出される。
 
「可愛いです。あんな小さくてふわもふな生き物がいるなんて。ペットっていいですね」
 
「麗奈は動物を飼いたいのか?」PPP RAM RUSH 芳香劑
 
「はい。ずっと前から飼いたかったんです」
 
私には誰にも明かしたことのない秘密の写真が一枚ある。
 
愛らしい瞳が印象的な子猫を抱いた私の子供の頃の写真。
 
それは私にとって辛い思い出でもあった。
 
「子供の頃、私は動物が飼いたいとママにねだった事があるんです。あの頃はママもシングルマザーで生活も大変でしたし、結局ダメでしたけどね」
 
他の友人はみんな、ハムスターや猫、犬、インコなどの動物を飼っているのにうちでは何も飼っていなかったから、羨ましかったんだ。
 
そんな私にママはペットを飼うのをずっと反対していた。
 
『動物たちにも命があるの。大切なひとつだけの命があるのよ』
 
ふたり暮らしだったから、動物を飼うとしても世話が大変だったと思う。
 
それにママはそのペットを飼っても、死ぬことでトラウマになるのを恐れていた。
 
命はどんなものにもひとつしかない、それが現実だから。
 
だけど、そんな私にも一匹だけ可愛がっていた猫がいた。
 
私が小学校4年生の頃。
 
近所に捨てられていた子猫で、いつも空き地の辺りをうろうろしていた。
 
私は親に内緒でその子に名前をつけて、こっそり餌を与え始めた。
 
当時としてはペットというより、友達感覚で付き合っていたと思う。
 
子猫の名前は「アイ」、愛情の愛から名前をつけた。
 
アイと私は半年もの間、ずっと仲のいい友達だった。
 
しかし、終わりは突然訪れる。
 
私とアイの関係がママにバレてしまったのだ。
 
野良猫はたくさんのばい菌や病気を持っている。
 
だから、素手で野良猫を触り、可愛がっていた私をママが離れさせようとしていたのはしょうがないことだったと思う。
 
私はママもうアイと会わないように言われた。
 
その時、私はママにアイを飼いたいと我がままを言い、困らせたのを覚えている。
 
『アイを飼えないのなら、せめて思い出にしたいの』
 
たった一枚だけ、私はアイと写真という形で思い出を作った。
 
そして、私とアイは……引き離されてしまった。
 
時々、その道を通るたびに私はアイの姿を確認するだけの関係。
 
こんなに近くにいるのに触ることができない。VigRX Plus
 
私はその事で何度も泣いた。
 
それから、数ヶ月後、アイはその空き地からいなくなった。
 
近所の人の話だと、車に轢かれて亡くなったらしい。
 
私は……動物としてではなく、友達を失ったことに涙を流した。
 
……あれから、私は動物が怖くなってしまった。
 
例え、捨て猫が可愛い声で鳴いていたとしても、私は見ないフリをしてきた。
 
死ぬのが怖い、だから、もう私は拒絶するしかない。
 
ずっとそうしていくんだって……思ってたのに。
 
「どんな動物だって命はひとつ。だからこそ、今を精一杯に生きている。それを恐れると言うのは命を否定する事になると思います。昔はそれが分かりませんでした」
 
「……それなら今度、両親に話してみるか?今、この家なら飼えるかも」
 
「いいんですか?飼えるのなら、出来れば猫が飼いたいです」
 
「猫か。俺も猫は好きだな。ネコ耳……いや、何でもない」
 
お兄さんは相変わらずわけの分からない事でにやついて気持ち悪い。
 
それはどうでもいいけど、アイのような可愛い猫が飼いたいな。
 
「そろそろ、休憩はお終いです。続きをお願いします」
 
私は再び、シャーペンを持ち、お兄さんの家庭教師に熱心に耳を傾けた。
 
気がつけば深夜になっており、私たちはそのまま解散した。
 
 
 
その日の夜、ベッドの上で私はアイの写真を見つめていた。
 
子供の私が猫を抱きしめている写真。
 
「アイ……」
 
アイは愛するという意味を持っていた。
 
好きな男の子を愛する、家族を愛する、あの頃の私は『愛』という言葉が大好きだった。
 
それは誰もが幸せになれる言葉だったから。
 
「この手にいつか大切なものを抱きしめたい」
 
ペットを飼いたいという願いは大きく膨らんでいく。
 
「今度、本当にママやパパに頼んでみようかな……」
 
私は眠くなってきたので写真を枕元の写真立てに戻す。
 
私は『希望』を掴み取りたい。
 
これが手に入れば、もうひとつだけ封印している本当に大切なモノも、取り戻せるかもしれないから……。男用99神油
Jun 01, 2013
恋人
授業が終わってから俺は中庭で琴乃ちゃんを待っていた。
 
恋人として付き合い始めてから2日目。房事の神油
 
今日は俺が理沙おばさんに挨拶に行く番である。
 
「理沙おばさんか」
 
お世話になってた頃から悪い人ではないけれど、怖い人ではある。
 
「お待たせしました、先輩。掃除が長引いてしまって」
 
「いいよ。それじゃ、行こうか」
 
琴乃ちゃんは今日も歩きらしいので、俺の自転車の後ろに乗せてあげる。
 
「自転車はまだ直らないのか?」
 
「今日ぐらいには直ってると思います。お母さんが勝手に乗って壊したんですよ」
 
「……そりゃ、大変だな。今はバスで通学しているんだ?」
 
「そうですね。さすがに家から歩くのは遠いですから」
 
バス通学の方が楽だけどな。
 
俺も雨の日はバスで通うこともある。
 
「先輩、少しだけ寄り道してもいいですか?」
 
「寄り道……?」
 
「向かってもらえれば分かります」
 
彼女の案内するままに俺は自転車を走らせる。
 
自転車の二人乗りをしていると背中の方に意識が集中する。
 
俺の制服を掴む彼女の手。
 
もうちょっと、ぎゅっとした感じで掴まってもらえると俺としては嬉しいのだが。
 
男の野望など彼女は気にするはずもなく、話を続けて来る。
 
「昨日、夢を見たんです。先輩の夢でした」
 
「……どんな夢だったんだ?」
 
「先輩との思い出のことです。私も昔のこと、それほど覚えているわけじゃないんです。さすがに時間が経ってますから……」
 
俺が小学2年生の時は、1歳年下の琴乃ちゃんは小学1年生。
 
覚えていろと言う方が無理なような気もする。
 
でも、昔の記憶って成長した時の記憶より印象的に覚えているものが多い。
 
なんとなく、ではあるけれど、イベントとして脳が記憶している。
 
俺の住むマンションの前を過ぎ去り、しばらく進むとあまり馴染みのない住宅地に入る。早漏克星
 
ここから先はあまり俺も来たことがない。
 
それゆえに、自転車で数十分という距離ながら琴乃ちゃんに会う機会もなかった。
 
「夢で見た光景。久しぶりに私も行ってみたい場所があるんです。いいですか?」
 
「もちろん。俺もどんな場所か気になる」
 
彼女が案内したのは彼女の家付近にある高台の公園だった。
 
整備された森林公園で、俺達は自転車から降りて歩く。
 
「昔、よくふたりでここで遊んだよな?」
 
「ふたりで……。あ、はい。家から近いのでよく遊びに来てました。お母さんが子供は家より外で遊んできなさいって言ったんですよ。夏休みでしたから暑くて大変でした」
 
「そういや、そうだったか」
 
小さな頃の俺はあまり外で遊ぶタイプではなかった。
 
住んでるマンションにも歳の近い子はいなかったので、遊び相手がいなかったんだよな。
 
だから、琴乃ちゃんと遊んだ時間は特別だったので記憶に残っている。
 
しばらく進むと高台から街全体が見下ろせるようになっていた。
 
「展望台公園か。いい景色じゃないか」
 
「先輩が預けられてた時にはよくここに来ていたんです」
 
琴乃ちゃんと遊んだ思い出の場所のひとつ。
 
かくれんぼしたり、はしゃいで遊んだのはこの公園だった。
 
見渡す限り、それほど記憶と変わらない。
 
遊具があって、展望台がある普通の公園だ。
 
「懐かしいな。どことなく覚えているよ。昔はもっと大きなイメージがあったが」
 
「先輩も私も成長してますからね」
 
大人になって視点が変わると見える世界が変わってくる。
 
都市化した駅前周辺と比べて比較的に緑の残る森林公園。
 
俺が適当に歩いていると目の前に大木が見えた。
 
「あの大木……そうだ、あれだ」
 
俺は近づくとこの公園で一番大きな木の前に立った。
 
そっとその木に触れて過去を懐かしむ。
 
「懐かしい木だ。よくこの木に上ったっけ」
 
「先輩。無茶して落ちそうでしたよね?」
 
「……実際、一回落ちて泣きそうになったけどな」procomil spray
 
女の子の前で泣くのは恥ずかしかったので必死にこらえた記憶がある。
 
今となってはそれほど高い木ではないのだが、あの頃は上るのも大変だった。
 
……。
 
『待ってよ、琴乃ちゃん〜っ!危ないって』
 
彼女と公園で遊んでいた時、俺達はこの木を見つけた。
 
巨木で子供がのった程度ではびくともしない。
 
最初に上ろうとしたのは、琴乃ちゃんの方だった。
 
『これくらい簡単に上れるでしょっ。ほらっ!』
 
彼女は木に手をかけて上り始める。
 
器用に木のぼりした彼女は大きな枝の上に座った。
 
『翔ちゃんも早くきてよ。ここからすごっく眺めがいいよ』
 
『……無理だってば』
 
『男の子なら大丈夫。早く上っておいで』
 
俺は仕方なく彼女を追うように木に登り始める。
 
それまで木のぼりなど一度も経験がないので難しかった。
 
何とか苦労してのぼった枝の上で俺は彼女の横に座る。
 
『少し高い木にのぼっただけなのに景色が違うね』
 
『ホントだ……すごいなぁ』
 
そう彼女は楽しそうに笑って言った。
 
巨木から見た光景は、ちょうど今の俺からの視界くらいだろうか。
 
……そう言えば、あの時は降りるのも苦労したっけ。
 
「あの頃の琴乃ちゃんってホントにすごかったよな。こんな木でも軽く上っちゃうし。ついていくのが大変だったよ」樂翻天
 
「……」
 
彼女は黙ってその木を見つめる。
 
俺は「琴乃ちゃん?」と呼びかけるとハッとしたように、
 
「え?何ですか?すみません、ボーっとしてしまって」
 
「いや、この木を琴乃ちゃんは軽くのぼっていたなぁって」
 
「……そうですね。私、木をのぼるのは得意でしたから」
 
なぜか俺から視線をそらすと彼女は思案顔をする。
 
どうかしたのだろうか?
 
「あっ、誰かいますよ」
 
だが、彼女は何事もなかったように話題を変えるように子供たちを指差す。
 
小学生の兄妹だろうか、男の子と女の子が一緒に公園で遊んでいる。
 
「俺達もあれくらいの年だったんだろうな」
 
小さな子供たちは備え付けられている遊具にのって遊んでいる。
 
兄の方は滑り台に簡単にのぼれるが、妹の方は中々上れない。
 
そりゃ、あの年頃の体格差なら仕方ないさ。
 
子供の頃の1年って結構、体格に差がひらいているからな。
 
妹の女の子が上り終えるまで待って、彼らは再び遊び始める。
 
俺達も昔はあんな感じだったんだろうか?
 
「何かほのぼのしてるなぁ」
 
「……先輩。そろそろ時間ですから行きましょうか?」
 
彼女が俺の手を自然にひいて公園から出ようとする。
 
その小さな手の温もりに俺は心地よさを抱いていた。
 
女の子と手を握った記憶もあんまりないので緊張する。
 
積極的な性格で、俺の方が翻弄されることが多いのは今も昔も変わらない。
 
……だけど、何か気にかかることがあるんだ。
 
過去の話をする時に彼女は時折寂しそうな顔をする。
 
俺はまだ何か忘れてしまっていることでもあるのだろうか……? 房中油濕巾