精力剤 : http://www.biyakushop.net/ProClass.asp?id=1

June, 2013
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対決と妄想
麗奈が事故にあったと聞いて俺は春雛と別れ、病院へとバイクを急いで走らせる。
 
もしも、なんて事になったら俺はどうすればいい?
 
麗奈は俺の生きがいそのもの、愛する妹を失うなんてそんなバカな事があってたまるか。金鰐魚
 
『妹ですから、私は』
 
せっかく恋心を封じこめ、兄妹になろうとしたんだ。
 
『お兄ちゃんと出会えたことは運命だと思っています』
 
互いに辛い事も乗り越えてきた、俺達は幸せをつかもうとしていた。
 
それなのに……こんな所で突然、その幸せが終わる?
 
そんなの嫌だ、そんな事だけは……。
 
嫌な事しか思い浮かばない自分に苛立ちながら、病院に到着した。
 
俺は焦る気持ちを抱き、急いで病室に向かう。
 
廊下を走りながら病室前にたどり着くと、勢いよく扉を開けて、俺は叫ぶ。
 
「麗奈、無事かッ!?」
 
妹の安否、俺はそれだけが心配でしょうがない。
 
……麗奈、俺の妹は無事なのか!?
 
「……は?」
 
そこにいたのは上着を脱ごうとしていた妹の姿。
 
「……な、何なの!?」
 
呆然とする俺と半裸の妹、彼女の親友、ナナが苦笑いしながら俺を見ている。
 
綺麗な白い肌、脱ぎかけの服に見え隠れしている危険な魅惑の果実。
 
おおっ、たわわに実りかけの果実……って今はそういう状況じゃない。
 
「れ、麗奈……事故にあったんじゃないのか?」
 
ベッドに座り込んでいた半裸の彼女に俺は尋ねる。
 
「え、あ、はい。そうです。車にひかれちゃいました」
 
「そうだよな。け、怪我とかしてない?大丈夫なのか?」
 
俺と麗奈、ふたりの視線が交差して……微妙な心境で見つめあう状況。
 
「……その前に何か言う事があるでしょう、お兄ちゃん」
 
妹の静かな怒りの声、やばい、この状況は非常にマズイ。
 
「着替え中なんだから……さっさと出て行ってください!」
 
麗奈の黄色い叫び声に俺は「すみません」と病室から飛び出した。
 
後頭部に枕を投げられて直撃する微妙な痛さに耐えつつ、俺は急いで病室の外に出た。
 
「……どういうことなんだ?」
 
俺は意味の分からない事に動揺しながらも、麗奈が無事だった事に安堵のため息をつく。
 
よかった、本当に無事でよかった……。
 
事故にあったと聞かされていた時から張り詰めていた緊張の糸が解ける。
 
……俺はもう誰も家族を亡くしたくはないんだ。
 
数分後、俺は妹の着替えが終わった事によりようやく中に入る。
 
妹は頭に包帯を巻いている痛々しい姿だった。
 
頭の怪我はそうたいしたものではないけれど、強く打ったために検査のための数日間の入院が必要なだけ、と麗奈は俺に説明した。
 
「そうか。本当によかったな」
 
車との接触事故にも関わらず他に外傷もないのは奇跡だ、俺がそう告げると、
 
「……私は助かっただけです。私を命がけで守ってくれた人がいたから」帝王家宝
 
「……え?」
 
「私を守ってくれた彼は……彼は……」
 
沈みきった表情で瞳に涙を溜め込む妹。
 
そんな……まさか、その人は……麗奈の代わりに?
 
何も言えなくなった麗奈の代わりにナナが答えてくれる。
 
「麗奈ちゃんを守った男の子って桐生君っていうの。恭平さんも何度か見かけてない?麗奈ちゃんと同じピアノ教室に通ってる男の子」
 
「あ、ああ。そう言われれば見た事があるよ。あの線の細い男の子だよな?」
 
何度かピアノコンクールで見た事はある。
 
男の子なのにピアノをよく頑張ってるな、程度に覚えてはいた。
 
「うん……。彼、私たちと一緒にいたんだけど……事故で……」
 
「事故で?まさか亡くなったのか……」
 
「……ううん、生きてるよ。怪我はひどいけど、無事だった」
 
麗奈を守ってくれた男の子、桐生君だっけ……。
 
その子がいなければ麗奈は無事ではすまなかったかもしれない。
 
彼には本当に感謝しないといけないよな。
 
「桐生君は今、どうしてるんだ?」
 
「もうすぐ、来ると思う。さっきまでここにいたし。今は親に連絡しにいっただけ。怪我はひどかったけど入院するほどじゃなかったから」
 
ナナは事故に巻き込まれなかったらしく、俺にいろいろと説明してくれる。
 
麗奈は無事ではあったけれど、心にはそれなりの傷もあるだろう。
 
ここはちゃんと桐生君にはお礼を言っておくべきだろうな。
 
しばらくするとノックが聞こえて、俺は扉を開ける。
 
現れた彼は左腕に包帯を巻き、あちらこちらに傷痕が見えた。
 
「あ、すみません……あれ?」
 
「キミが桐生君か?」
 
「そうですけど……もしかして、西園寺のお兄さんですか?」
 
「ああ。はじめまして、俺は西園寺恭平っていうんだ」
 
俺の言葉に彼は頭を下げて「桐生雅貴です」と言った。
 
第一印象としては礼儀正しい男の子、しかも、クールな印象がカッコいい。
 
うむ、最近の子供にしてはよくできてるではないか。
 
「今回は麗奈を助けてくれたそうで、ありがとう……」
 
「いえ。俺は別に……」
 
桐生君は麗奈に近づくと、彼女は小さな声で、
 
「……本当にありがとう、桐生君」
 
「でも、俺は西園寺を守りきれなかったし。実際、俺はこの怪我で入院するわけじゃないのに、西園寺は入院しなくちゃいけないだろ」
 
「そんな事ないよ。入院って言っても検査するだけ。私、ほとんど無傷だから。それって、全部、桐生君のおかげだよ。ありがとう」
 
にっこりと彼に微笑む麗奈は可愛く、ドキッとする。
 
……別に俺に向けられた笑顔じゃないけどさ。
 
「桐生君は私の命の恩人なんだから」
 
何だろう、妹の目がなんだかキラキラしてるように思えてしょうがないのだが。
 
俺の気のせいかな……お兄ちゃん、別の意味で不安になってきたぞ。
 
「七海、私、ふたりっきりで話がしたいんだけどいいかな?」
 
「あ、うん。わかった。ねぇ、恭平さん。私と一緒にジュース買いに行こう?」
 
「……え、でも、俺は麗奈と話が……」
 
「いいから。私と外に出よう、ほら……」
 
こ、この状況をふたりにしちゃうといけない、俺の第6感がそう告げている。
 
そう、今の妹の瞳は何だか危険な感じ……まるで恋する乙女みたいな。
 
「……お兄ちゃん。ジュースを買ってきてくれませんか?」1粒神
 
「はい……」
 
妹にそう言われたら行くしかないけど、でも、絶対にマズイって。
 
俺はナナに手を引かれて病室から追い出されるように外に出た。
 
静かに病室の扉が無常にも閉まっていく。
 
「……ジュース、買いに行こう。全力で走りながらいけばすぐだ」
 
「ダメ。廊下は走らず、ゆっくりと歩きましょう」
 
俺は廊下をゆっくりとナナと歩きながらたずねた。
 
「もしかして、今の状況まずくないか?」
 
「桐生君とふたりっきりの事?」
 
「そうだ。麗奈があんな風に男と接してるのは俺以外にはじめて見るぞ」
 
「……まぁ、そうかもね。私も……恭平さんに憧れてた昔の麗奈ちゃんみたいだなって思ってた。あれは桐生君に惹かれてるかもね……」
 
なんという事でしょう。
 
……俺は大ショックに廊下の壁に頭をぶつける。
 
マジか、マジなのかよ、麗奈が他の男の子になびくだと?
 
そ、そんな事があっていいのか、否、あってはいけない。
 
ここでそんなフラグを立ててしまってはいけません!
 
お、お兄ちゃんとして、そんな事は許すわけにはいかない、絶対に!
 
意外と冷静なナナは俺に逆に問いかけてくる。
 
「麗奈ちゃん、前に桐生君に告白されてるんだよね」
 
「嘘……アイツ、桐生は最初から麗奈狙いなのか!?」
 
「そういう言い方は好きじゃないな。私も彼の事、そんなに好きじゃないけど、いい人ではあるよ。外見もいいし、結構優しいから。麗奈ちゃんとも付き合い長いし」
 
……どうしよう、お兄ちゃん、めっちゃ不安になってきた。
 
他の男に恋する妹なんて見たくないっ。
 
緊急事態発生、パニックに陥る俺は思わず廊下を転げまわりたい衝動に駆られる。
 
『ごめんね、お兄ちゃん。私、他に好きな人が出来たの』
 
俺の脳内妄想ですら……嫌な妄想すらしてしまうではないか。
 
『お兄ちゃん、バイバイ』
 
うぉおお、ダメだ、ダメージが大きすぎて俺はもうこのまま倒れこみそうだ。
 
「……見守るのもひとつの愛だって、私は思うけど」
 
「……とりあえず、病室に戻ったら桐生を倒す」
 
「結論、早ッ。でもそんな事したら一生、麗奈ちゃんと口聞いてもらえなくなるよ。だって、麗奈ちゃんにとっては命の恩人だもん」
 
わかってるさ、それくらい。
 
だから、俺はここまで悩みに悩んでいるのではないか。
 
麗奈に好きな相手がいつかできるかもしれない、そう考えていた事はあった。
 
俺にだって、春雛という恋人がいるんだ。
 
猛反対しまくるワケにもいかない、それも分かってる。
 
自販機を発見した俺とナナは目的のジュースを購入した。
 
「麗奈ちゃんはオレンジジュース。私は炭酸……あ、ソーダでいいよ。桐生君は……コーヒーとか飲むかな。恭平さんは何飲む?お金出すのは恭平さんだけど」
 
「……俺は……何もいらないや」
 
精神的ダメージがきつくて、飲み物すら飲めやしない。
 
「麗奈ちゃんに彼氏が出来るのそんなに嫌?私たちは年頃だからそういうのに普通に憧れたりしてるのに」
 
「……ふっ、若さはバカさっていうくらいだからな。青春なんて嫌いだ」
 
頭で分かっていても、理解したくない事は現実世界にいくらでもある。
 
……そうだ、ついにこの時が来ただけだ。
 
宿命の対決だ、妹のために俺は修羅になるべきだ。極品狼一号
 
俺に認めさせてみろ、桐生雅貴、お前は俺の敵だッ!
 
俺は強い決意を秘めて、病室へと戻ってみると、そこには既に桐生はいなかった。
 
「彼はどうしたんだ?」
 
「親が迎えにきたから帰りましたよ。お兄ちゃん、ジュースありがとうございます」
 
「あ、ああ。そうか。帰ったのか……惜しい」
 
戦意をそがれた俺は仕方なく諦めて、椅子に座る。
 
今度会った時、そこは戦場になるな。
 
……と、妹の前では決して口に出来ない言葉を心の中で囁く。
 
俺の可愛い妹に触れるなど断じて許すものか。
 
「身体は大丈夫か?痛いところはないのか?」
 
「心配しすぎですよ、お兄ちゃん。私は大丈夫です」
 
麗奈よ、身体には問題なくても、心に異常事態が発生してませんか?
 
俺はある程度の覚悟を踏まえてその質問を彼女にしてみる。
 
「あのさ……桐生って麗奈にとってどんな人なんだ?」
 
「カッコいいですよね。私、今まで彼の事、誤解してました。本当は優しさを秘めてるんだって知らなかったから……。前までは嫌な人だったんですけどね。きっかけひとつで人の印象ってずいぶん変わります。それを改めて感じてます」
 
静かに瞳を瞑りながら彼の事を思う妹。
 
人の印象について、男は女に対して初めに抱いた印象を引きずる。
 
けれど、女は男に対して抱いた印象はどんどん上書きされていく。
 
それは恋と同じものだから。
 
男は経験した恋愛を全て保存しておくけれど、女はそれを全て上書きしていく。
 
……マジでへこむなぁ……ぐすん。
 
「……麗奈」
 
「はい、何ですか?」
 
「男は狼なんだからね、気をつけなきゃダメなんだからッ!」
 
俺の言葉に麗奈は非常に冷たい絶対零度の視線を向けながら、
 
「……何、ワケの分からない事を言ってるんですか?」
 
素で言われたよ、俺は泣いていいでしょうか。
 
まさか、自分が彼に惹かれているのに気づいてない、無自覚さん?
 
ナナに慰められながら俺は安心と不安、ふたつを同時に抱える事になる。
 
俺達“兄妹”の前に現れた大きな壁ともいえる今回の事態。
 
……どうなっちゃうんですか、俺達。
 
俺は果てしなく不安になりながら、大きくため息をはいた。新一粒神
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